【3月10日 AFP】不健康な食生活によって、米国では年間40万人以上が心臓病と関連疾患で死亡している恐れがあるとの研究結果が9日、発表された。

 研究によると、米国人は、塩分、脂肪、糖分などを多く含む食品を取り過ぎており、その一方で、果物、野菜、全粒穀物などは足りていないのだという。研究結果は、米オレゴン(Oregon)州ポートランド(Portland)で開催の米国心臓協会(AHA)の会合で発表された。

 研究を率いた米ワシントン大学(University of Washington)保健指標評価研究所(IHME)のアシュカン・アフシン(Ashkan Afshin)助教(国際健康学)は、「ナッツ、野菜、全粒穀物、果実などの健康的な食物の摂取不足と塩やトランス脂肪酸などの不健康な食事成分の取りすぎとの組み合わせは、米国での循環器疾患による死亡の主要原因となっている」と指摘する。

「米国での循環器疾患による死亡の半数近くが、食事の改善によって回避できる可能性があることを、研究結果は示している」とアフシン助教は述べ、食習慣を変えることで、多くの命が救われる可能性があると説明した。

 今回の研究は、米全国健康・栄養調査(NHANES)や国連(UN)の食糧農業機関(FAO)などによる、1990年代までさかのぼる各種調査を通じて収集されたデータに基づいている。

 米国では全死者の4人に1人、年間60万人以上が、心臓病が原因で死亡している。個人が心臓病を発症する確率には、喫煙、肥満、食事、運動、遺伝などの要因がすべて関与し得る。

 研究チームは今回、米国の2015年の循環器疾患による死亡に関するデータの調査から、食事の選択が、男性22万2100人と女性19万3400人の死亡に関与していることを明らかにした。

 AHAの専門家らは、果物、野菜、ナッツ、豆、全粒穀物、低脂肪乳製品、魚、鶏肉などが豊富な食事を摂取するよう推奨している。一方で、摂取を避けるか摂取量を制限するべきとされているのは、脂肪分の多い肉や加工された赤身肉、砂糖入り飲料、塩、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸などだ。(c)AFP