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移植組織を無傷で解凍する新技術、臓器不足の軽減に期待

2017年3月2日 10:37 発信地:マイアミ/米国

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移植組織を無傷で解凍する新技術、臓器不足の軽減に期待
移植手術をする外科医ら(2003年12月19日撮影、資料写真)。(c)AFP/Jaafar ASHTIY

【3月2日 AFP】移植に利用可能な提供臓器の数を大幅に押し上げ、移植用臓器の不足を軽減する可能性を秘めた最新の研究成果が1日、発表された。危機的な状況にある臓器不足は、毎年数千人の死亡につながっているという。

 低温保存による臓器と組織の急速冷凍は1980年代に実現されたが、臓器の組織を過剰に加熱したり破壊したりせずに再加温するのはより困難であることが判明していた。大半の提供臓器は、氷で冷やした状態で約4時間しか維持できない。

 米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシン(Science Translational Medicine)に発表された研究論文によると、米ミネソタ大学(University of Minnesota)の研究チームは今回、動物の心臓の弁と血管を解凍する方法を発見したという。

 この方法は、表面をシリカ(二酸化ケイ素)でコーティングした酸化鉄ナノ粒子を、抗凍結剤溶液全体に分散させることで機能する。

 ミネソタ大発表の声明によると「酸化鉄ナノ粒子は、非侵襲性の電磁波で活性化すると、臓器の周囲で微小な加熱器として機能する。目的は、従来の方法より10~100倍速い昇温速度の毎分100~200度で急速、均一に組織を加温することだ」という。同大は、この技術の特許を2件保有している。

 再加温後に実施された検査では、氷上で緩やかに再加温したり、加温に対流加熱器を用いたりした臓器には損傷が残る一方、この方法による臓器は無傷だったことが示された。また、抗凍結剤溶液は、解凍後に臓器から簡単に洗い落とすことができた。

 論文の主執筆者で、ミネソタ大のジョン・ビショフ(John Bischof)教授(機械工学)は「より大きな生体系にスケールアップして、保存臓器を損傷しない高速、均等な加温が可能であることを実証できたのは、今回の研究が初めてだ」と説明する。「これらの非常に心躍る成果により、移植用臓器を貯蔵しておくことができる日が来れば、大きな社会的利益がもたらされるかもしれない」

 研究チームは次の段階で、この技術の試験をラットとウサギの臓器を対象に実施した後、ブタの臓器、最終的にヒトの臓器へと試験を進める予定だ。

 今回の進展は、人間を丸ごと凍結し、後になって蘇生させるために人体を解凍する日が来るのではという夢をかき立てるかもしれない。だがその日は、仮に来るとしても、まだはるかに先のことだと、ビショフ氏は指摘した。

■捨てられる臓器

 米臓器調達移植ネットワーク(Organ Procurement and Transplantation Network)によると、米国では臓器移植の待機患者数が7万6000人近くに上っているという。

 専門家らによると、毎年、移植手術に提供される心臓と肺の60%以上が、長期保存ができないために廃棄を余儀なくされているという。毎日平均22人が、臓器の待機期間中に死亡している。

 サイエンス・トランスレーショナル・メディシン誌の編集委員は「今回の研究論文は、組織バンクの実現に向けた最初の実践的な一歩となる」とコメントした。(c)AFP/Kerry SHERIDAN

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