【2月15日 AFP】腹部に脂肪がたまりやすい遺伝的傾向を持つ「リンゴ体形」の人は、2型糖尿病と心臓病のリスクが高まる可能性があるとの研究結果が14日、発表された。

 米国医師会雑誌(JAMA)に発表された論文は、個人の遺伝子構成が、将来的な健康問題の発生要因になる恐れがあることを示唆している。

 論文の主執筆者で、米ハーバード大医学部(Harvard Medical School)のセカール・カティレサン(Sekar Kathiresan)准教授(医学)は「体脂肪の分布は人によって異なり、腹部脂肪蓄積と呼ばれる、おなか周りに脂肪がつく人もいれば、腰周りと太ももに脂肪がつきやすい人もいる」と説明。「今回の研究では、腹部脂肪蓄積の遺伝的素因と2型糖尿病および冠状動脈性心臓病リスクとの関連性を調べた結果、その答えが間違いなく『ある』だと分かった」と続けた。

 これまでの観察的研究では、腹部の脂肪と2型糖尿病および心臓病との間に関連性があることは明らかになっていたが、因果関係の証明にまでは至っていなかった。

 研究チームは調査をさらに進めるため、ゲノム(全遺伝情報)解析を受けた参加者約40万人を対象に、2007~15年に実施された6件の研究を詳細に調べた。

 これまでの研究では、おなか周りと腰周り(ウエスト・ヒップ比)の腹部肥満率に関連する遺伝子変異48個が同定され、この変異の有無に基づき、遺伝的リスクの指標(リスクスコア)が作成されていた。

 今回の研究では、腹部肥満率の上昇につながる特定の遺伝子を持つ人は、脂質値、インスリン値、血糖値、最高血圧などが高い上、2型糖尿病と心臓病のリスクも高いことが明らかになった。

 論文の筆頭執筆者で、米マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)研究者のコナー・エムディン(Connor Emdin)氏は「腹部脂肪蓄積などの特徴が心血管代謝の予後に及ぼす影響を判定する方法として、遺伝的性質を利用することの有効性を今回の研究結果は浮き彫りにしている」と指摘。そして、今回の研究では、体形、遺伝的リスクスコア、食事や喫煙などの外的影響(交絡)因子などの間には何の関連性も見つからなかったため、このことが「腹部脂肪蓄積それ自体が2型糖尿病と心臓病を引き起こす一因となっていることの有力な証拠を提供している」と説明した。

 今回の成果についてエムディン氏は、おなかの脂肪を標的とした、糖尿病と心臓病のリスク低下させるための薬剤の開発につながることに期待を示した。(c)AFP