【12月23日 AFP】スポーツ中に頭部に受けた打撃や車の衝突、遊び場での転落など、脳振とうは一般的によくある脳損傷だが、診断が難しいことで知られている。だが、米国を拠点とする研究チームは22日、音に対する脳活動の反応の差異を測定することで脳振とうを迅速に診断する、携帯可能で信頼性の高い検査方法を公開した。

 米ノースウエスタン大学(Northwestern University)の研究者らは、AFPに対し「脳振とうによって音に関する脳の情報処理が混乱すること、また非侵襲的に測定できるこの混乱によって、脳振とうの診断と管理が行える可能性を発見した」と語った。

 脳振とうは頭部を強打するなど、脳に激しい衝撃を受けると起こる。損傷は軽度から重度まであり、症状も頭痛や混乱から意識や記憶の喪失まである。重症の場合は、脳浮腫や頭蓋内の出血を抑えるために外科手術を要することもある。脳振とうの診断は難しく、X線その他のスキャン検査でも損傷を特定できないことがある。

 今回公開された新たな検査方法は、小型センサー3個を頭蓋の上に置いて患者に音を聞かせ、脳の活動を計測する。研究では、2つのグループの子どもたち(脳振とうの診断を受けたグループと健康なグループ)に同じ音を聞かせた。すると脳振とうと診断されていた子どもたちは、脳の活動がより少なかった。

 この診断方法は、患者が休息・回復後に通常の活動に戻る時期を、医師がより正確に判断するのにも役立つ。同研究論文は、英科学誌ネイチャー(Nature)系オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に発表された。(c)AFP/Mariëtte Le Roux