【11月21日 AFP】過去20年間、母親のことを再び抱きしめたいと思い続けてきたラウラ・アビラさんの願いが19日、ようやくかなった──たった3分間の再会だったが、その顔には涙が流れていた。

 19日午後12時27分、米カリフォルニア(California)州サンディエゴ(San Diego)のメキシコ国境の重厚な金属製のゲートが、米国境警備隊によって開かれ、アビラさんは母の胸に顔をうずめた。

 移民権利団体「ボーダー・エンゼルス(Border Angels)」と米当局は、20日の国連(UN)の世界子どもの日(Children's Day)に合わせて再会イベントを実施。6家族が参加し、アビラさんと11歳の娘も選ばれた。

 メキシコ・ティフアナ(Tijuana)とサンディエゴを隔てる鋼鉄製フェンスのゲートには、一家族ずつ、当局者に付き添われながら近づいた。そして国境警備隊の監視と集まった報道陣に囲まれながら、メキシコ側の家族とつかの間の再会を果たし、抱き合い、キスをした。

 米ロサンゼルス(Los Angeles)近郊に暮らすアビラさんは再会後、「前に会ったとき母は50歳でしたが、来週には71歳になる」「私たち2人にとっては、ちょっと早いクリスマスプレゼントで、母にとっては誕生日プレゼントにもなった」と述べた。

 AFPの取材にアビラさんは、「母は私たちに会うために(メキシコ中部)プエブラ(Puebla)から飛行機で4時間かけて移動した」と説明した。アビラさんの母親は、米国への不法入国で送還されたのだという。

 2013年に始まったボーダー・エンゼルスによる同イベントは、今年で4回目の開催となった。今回は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が米大統領選で勝利した直後の実施ということもあり、参加者にとっては、より大きな意味を持つものとなった。トランプ氏は大統領選期間中、米・メキシコ国境に壁を設置し、米国から不法移民数百万人を追放すると公約していた。

 参加者ら全員がトランプ氏の厳しい移民政策を意識しているのは、はたから見ていても明らかだった。家族らは、これが最後になるのではとの思いの中、お互いに抱き合い、涙を流していた。(c)AFP