【11月8日 AFP】世界の中低所得国では1人当たり月わずか1~2ドル(104~208円)の負担で国民全てに201種類の必須医薬品を提供できるとの研究結果を、専門家チームが7日、英医学誌ランセット(Lancet)の特別号に発表した。

 現状では5か国に1か国は支出額が1ドルに届いておらず、論文では「基礎的な医療ニーズに応えられるように追加の資金拠出が緊急に必要だ」と訴えている。

 必須医薬品にはモルヒネなどの鎮痛剤、結核やAIDS(エイズ、後天性免疫不全症候群)、マラリアといった感染症の薬、がんや糖尿病など慢性疾患の薬、各種ワクチン、避妊薬などが含まれる。

 必須医薬品に関するランセット委員会(Lancet Commission on Essential Medicines)は論文の要旨で、地域間で資金拠出や管理能力に「著しい格差や非効率性」がみられ、多くの人にとって薬の入手が難しくなっていると述べている。

 論文はさまざまな国の専門家21人がまとめ、各国政府やNGO、医療機関、医薬品の規制当局、製薬業界に提言を行っている。

 委員会は、現在の医薬品開発では特許や利益に主眼が置かれ、基礎的な必須医薬品は脇に追いやられていると批判し、開発システムの見直しが必要だとも強調している。(c)AFP