【10月7日 AFP】世界の平均寿命は、1980年以降に10年増となる急速な伸びを示していることが、6日に発表された国際保健の包括的な概観報告書で明らかになった。 2015年の平均寿命は男性で69歳、女性で75歳近くになったという。

 英医学専門誌ランセット(Lancet)に発表された報告書「世界の疾病負担研究(Global Burden of Disease Study)2015」によると、寿命年数の増加分の大半は、特に過去10年間での、感染症による死者数の急激な減少と共にもたらされたという。

 人口が増加するなか、どちらも主要な死因であるAIDS(エイズ、後天性免疫不全症候群)/HIV(ヒト免疫不全ウイルス)と結核 (TB) を合わせた死者数は、2005年の310万人から2015年には230万人となり、その減少率は25%を上回った。

 同じ期間においては、下痢性疾患による年間死者数が20%減少しており、また2005年には120万人だったマラリアの死者数も、2015年には73万人となり、約3割の減少となった。

 この10年間で、195のうち188の国と地域で、平均寿命が上昇した。

 一方で、がん、心臓病、脳卒中といった非伝染性疾病については、2005年の3500万人から2015年には3900万人となり、その死者数が増加している。

 子ども支援の国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン(Save the Children)」英国支部のケビン・ワトキンス(Kevin Watkins)支部長は、ランセット誌に同時掲載された解説記事で「寿命が伸びるにつれて、非伝染性疾病の負担が、治療の付随コストとともに増大している」と指摘する。

 がん、冠動脈疾患、肝硬変、アルツハイマー病など、増加傾向にある非伝染性疾病の多くは、加齢に関連するものだ。

 皮肉なことに、寿命が伸びても、それに伴って体の不調を訴える不健康な状態での時間が増えていることを、100ページに及ぶ今回の報告書は明らかにした。(c)AFP/Marlowe HOOD