【10月4日 AFP】南太平洋の島国バヌアツとトンガの最初の住民は、長年考えられていた他の太平洋諸島からではなく、アジアからやって来たことがDNA研究によって明らかになったとする研究が、英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された。

 この研究は、約3000年前に「ラピタ人(Lapita)」と呼ばれる人々が南太平洋に広がっていくという、人類にとって最後となる無人の島々への大規模な拡散を解明した。ラピタ人については、特徴的なドット模様が刻まれた土器と、残された人骨以外、ほとんど知られていない。

 ラピタ人についてこれまで科学者らは、オーストラリアやニューギニア、ソロモン諸島などに5万年前~4万年前に到達したオーストラリア・パプア系先住民の子孫だと推測してきた。しかし、バヌアツ最古の墓地に埋葬されていた3体の人骨のDNA分析を行ったところ、アジアからやって来たことが判明した。一方、太平洋の近隣諸島に由来するDNAの痕跡はみられなかった。

 研究に参加したオーストラリア国立大学(Australian National University)のマシュー・スプリッグス(Matthew Spriggs)教授は「彼らの起源はアジア人だ。台湾やおそらくフィリピン北部からそのままたどり着いた。彼らが通って来た場所にはすでに人類が住んでいたが、バヌアツに到着した時、そこに人類はいなかった。彼らが最初の人類だったのだ」と述べた。トンガで出土したラピタ人の人骨のDNA解析でも結果は同様だったという。

 同氏はこの結果を踏まえ、アジア系のラピタ人は人類として初めて南太平洋に定着した後、第2波としてやって来たオーストラリア・パプア系の人々と混血し、現代のこの地域の遺伝子混合が生じたと考えうると述べた。(c)AFP