【2月25日 AFP】幼児には、教えられなくても簡単な道具の作り方や使い方を理解している可能性があるとの研究論文が24日、発表された。これは既存の社会通念やこれまでの研究に疑問を投げかける成果だ。

 人間の持つ、高度な道具を設計・使用するという類いまれな能力については、これまで、模倣や学習を通じて継承されるものと広く見なされてきた。

  しかし、今回の研究で行われた、2~3歳半の幼児に道具を作り出す能力が元々備わっているのかを調べる実験を通じて、この考えが必ずしも正しいわけではないことが示された。

  英学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)」によると、英バーミンガム大学(University of Birmingham)心理学部のエバ・レインドル(Eva Reindl)教授率いる研究チームは、男児24人と女児26人を対象に12の実験を行った。

  各実験では、一人で遊んでいる幼児が、ある物体を道具として捉え、普段と違う使い方をして目的を達成できるかを調べた。

  これらの実験はすべて、ヒトのDNAと98.8%が一致するチンパンジーなどの類人猿が行うタスクを基に考案されたものとなっている。

  実験の結果、12のうち11の課題で、多くの幼児が「正しい」解決策を見出すことができた。一部では、計画を実行する段階での失敗もみられた。

  全体的にみると、野生のチンパンジーやオランウータンに一般的にみられるタスクは、幼児にとっても最も簡単に成し遂げられるものである傾向がみられた。

  レインドル教授はAFPに対し、「より高度な道具を使うためには、社会的学習が不可欠だが、それを必要としない基本的な道具の使用について、今回特定することができた」と述べた。

  また今回の研究は、必ずしも「生まれか育ちか」の議論に当てはまるものではない。行動とは、「環境」「遺伝的な素因」「社会的・個人的学習」など複数の要因が複雑に絡み合って生じるものと同教授は説明している。(c)AFP