【2月17日 AFP】バーチャルリアリティー(仮想現実、VR)を体験できる3Dグラスを患者に装着させ、意識を保たせたまま、がん性腫瘍を切除する手術にフランスのアンジェ大学病院(CHU Angers)がこのほど成功した。3Dグラスを活用した脳外科手術は世界で初めてといい、術後の経過も良好という。手術チームを率いた医師が16日、AFPに明らかにした。

 神経外科医のフィリップ・ムネ(Philippe Menei)氏は今回の手術について「この男性患者に対して完全に人工の世界をつくり出すことで、これまで手術台では検査が困難だった機能に関連した脳の部位や結合のマッピングが可能になった」と語った。

 ムネ氏によれば、手術は先月27日に実施され、患者は順調に回復しているという。

 脳手術の際に患者が意識を保った状態で脳を切開することは、すでに10年以上にわたって行われており、目新しいことではない。こうした施術では、患者は脳組織を探られてもそれを感知できないので、痛みも感じない。

 だが、脳手術における3D・VR技術の活用は、全く新しい可能性を切り開くものだとムネ氏はいう。「患者が見たり聞いたりすることを完全に制御することで、これまで不可能だった一部の脳内結合のテストが可能になる」と同氏はその意義を強調した。(c)AFP