【2月12日 AFP】中南米地域で小頭症の新生児が急増する中、ジカウイルスに感染した母親の胎児の神経組織からウイルスの痕跡が見つかったとする2件の研究報告が11日、発表された。これらの報告書によって、ジカウイルスと小頭症との関連性が一段と強まる形となった。

 スロベニアの研究チームは、人工妊娠中絶した重度の小頭症胎児の脳内にジカウイルスの痕跡を発見したと、米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に掲載された報告書で述べた。小頭症は、先天的に頭蓋骨と脳が異常に小さく、障害や死亡の原因となる恐れがある。

 報告書によると、胎児の母親は欧州出身で、ブラジルでジカウイルスに感染したとみられるという。中南米とカリブ海諸国では、ジカ熱の流行と同時に小頭症が急増。なかでも、ブラジルでの感染および発生件数が最も多い。

 他方で、米疾病対策センター(CDC)の研究者らが率いた別の研究チームも、生後20時間以内に死亡した小頭症の新生児2人と流産の胎児2人を対象にした検視結果を報告した。

 4人の母親はいずれも、ジカウイルス感染の症状を示していたが、感染の有無についての検査は行われなかった。ただ、死亡した新生児2人の脳には、ジカウイルスの痕跡がみられたという。

 ジカウイルスが小頭症の原因であることを示す科学的証拠は、まだ示されていないが、世界保健機関(WHO)は、その関連性は「強く疑われる」としており、ウイルスの流行については「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と宣言している。(c)AFP