■無謀か、英雄か?

 しかし、衛生インフラや政治的意思、社会的価値といった全体的な問題が、グアナバラ湾を救おうという活動から希望の光を奪っている。例えば今年の夏季五輪では、ヨットや水泳競技で湾が使用されるため、開幕までに流入する排水の量を大幅に削減すると当局は約束していたが、いつの間にか棚上げされてしまっている。

 リオデジャネイロで持続可能な開発や社会的平等を推進しているシンクタンク「カーザ・フルミネンセ(Casa Fluminense)」の研究員、ギリェルメ・カラキダ(Guilherme Karakida)氏は、セカ島計画は非現実的と思われるかもしれないが、同時にこれだけ大きな危機に求められているのは型破りな考え方だと語る。

 リカルド氏と共に同島を視察したIT起業家も、リカルド氏のビジョンに耳を傾けながら「彼は夢想家なんですよ」と言った。「でもリーダーには、少し突拍子もない部分が必要。彼にかかると、実現することがすでに分かっているように聞こえる」

 リカルド氏本人に、あなたは特別な勇気の持ち主なのか、それとも少々クレイジーなのかと尋ねてみたところ、彼は笑ってこう答えた。「どちらでもないね。この観測所は新たなモデルになるだろう。正気でないとか、勇敢だとかという次元の話ではない。私の提案は全て現実的なことだ」(c)AFP/Sebastian Smith