【12月19日 AFP】戦争や暴力によって強制移動を余儀なくされた人の数が急増しており、2015年は過去最多となる見通しであることが国連(UN)が18日に発表した調査報告書で明らかになった。報告書によると、難民や国内避難民の数は今年6000万人を上回るとみられる。これは世界中で122人に1人が強制移動を強いられていることを意味するという。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が発表した報告書によると、難民や難民申請者、国内避難民の数は今年上半期に急増しており、下半期も含めると最終的には膨大な数になるとみられている。

 世界の避難民の数は昨年、5950万人を記録したが、今年はすでに「6000万人を優に上回る勢い」で、これは世界中で122人に1人が家を追われたことを意味するとUNHCRは指摘している。

 UNHCRの報告書によれば、今年上半期に少なくとも新たに500万人が自宅からの強制移動を余儀なくされ、そのうち83万9000人が他国に越境している。これは日々4600人が新たに難民になった計算になるという。6月末までの時点で、世界の難民の数は2011年以降45%増の2020万人に上る。UNHCRによると、移民・難民が急増した主な原因はシリアでの紛争で、2015年6月までに420万人の難民が生まれている。

 一方でUNHCRは、今回の報告書が6月までのものであり、欧州に渡航する移民が急増した今年下半期のデータはほぼ反映されていないと説明している。

 今年、欧州に到達した移民や難民は100万人近くに上っており、欧州は第2次世界大戦(World War II)以降最大の移民問題に直面している。(c)AFP/Nina LARSON