【10月28日 AFP】国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は27日、地中海(Mediterranean Sea)を渡って欧州に到着した移民・難民の数が、今年に入って70万人を超えたと発表した。

 今年、紛争や貧困から必死に逃れようとしてギリシャ沿岸にたどり着いた人々は56万2355人に上り、またイタリアには約14万人が到着したという。

 UNHCRは、欧州の他の国々に入った人々も考慮すると、欧州大陸沿岸に到着した人々の総数は70万5200人以上で、うち2割が子どもだとしている。

 国際移住機関(IOM)は、欧州諸国が危機対応に苦慮するなか、移民・難民の流入の勢いは天候の悪化などにもかかわらず弱まる気配を見せていないと指摘している。

■EU大統領、政情の大規模な変化を危惧

 欧州理事会(European Council)のドナルド・トゥスク(Donald Tusk)EU大統領(常任議長)は、フランス・ストラスブール(Strasbourg)の欧州議会(European Parliament)で、「ロシアの空爆を受けているシリアのアレッポ(Aleppo)やその他の地域から(到着する)難民の新たな波」を警告し、「状況はさらにもっと悪化するだろう」と述べた。

 さらに、「(今回の移民・難民危機は)もっと危険なことに、欧州の政情に大規模な変化をもたらす可能性をはらんでいる。そしてその変化は、良い方向への変化ではない」と述べた。(c)AFP