【10月27日 AFP】国連(UN)の国際がん研究機関(IARC)は26日、ソーセージやハムなどの加工肉が大腸がんの原因となると結論付けた調査結果を発表した。IARCは赤身の肉も「おそらく」がんを引き起こすとしており、急成長を続ける家畜業界に打撃を与える可能性がある。

 国際がん研究機関は、世界中の800件の研究を精査した結果、「人体において、加工肉の摂取が大腸がんを引き起こすことを示す十分な証拠」が得られたとした上で、この調査結果は加工肉を主とした「肉の摂取量制限の推奨」を裏付けるものだとしている。

 加工肉には、塩漬け肉、発酵肉、燻製肉などが含まれ、例えば、ソーセージ、コーンビーフ、ビーフジャーキーなどの切り干し肉、缶詰肉、肉をベースにしたソースなどが相当する。

 IARCによれば、毎日50グラムの肉を食べると、大腸がんの発症率は18%高くなる。IARCは、加工肉の摂取による大腸がんの発症リスクは統計学上低いものの、「肉の摂取量に従って増大する」と指摘している。

 加工していない赤身肉(牛肉、豚肉、羊肉、馬肉、ヤギ肉など)の場合は、大腸がんの発症リスクを示す「強い」証拠があるが、既に確認されている発がん性物質(たばこの煙やアスベスト、そして今回加えられた加工肉など)ほどの確証性はないとしている。

 IARCは、世界のがん死亡患者のうち年間約3万4000人が加工肉の多い食生活が原因でがんを発症したとする研究結果を紹介している。一方、年間のがん死亡患者のうち、喫煙が原因とみられるのは100万人、アルコール摂取は60万人、大気汚染は20万人で、これらに比べると肉の摂取が原因のがんは少ないと指摘している。

 IARCは、健康に安全な食肉摂取量がどのくらいであるかを示すデータはないとしている。また、加工肉が発がんリスクを高める仕組みは完全に解明されていないが、加工や調理の過程で生じる化学物質が何らかの影響を及ぼしている可能性もあるとしている。

 IARCの発表を受け、北米食肉協会(NAMI)が「特定の結果を出すためにデータを歪曲した」と批判するなど、食肉生産業者は反発。また、栄養学の専門家らは、肉は鉄分や亜鉛の重要な供給源であり、肉の「過剰摂取」に該当する人々は非常に少ないと指摘するなど、発表された内容の解釈に注意を促している。(c)AFP/Mariette LE ROUX