【10月13日 AFP】座っていることは、定期的に運動する限り、立っていることに比べて有害な影響は皆無との調査結果が12日、発表された。座位・立位の両方に対応できる作業台の健康上の効果に疑問を投げかける結果だという。

 英国のチームが発表した今回の研究結果については、「座ったままで長時間過ごすことは、どんなに運動していても、健康に悪い」と主張する他の研究結果に基づき、英国民保健サービス(National Health ServiceNHS)が発表した勧告に異議を唱えるものともなっている。

 今回の研究で、英エクセター大学(University of Exeter)と英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College LondonUCL)の共同チームは、5000人以上を対象とした16年間にわたる追跡調査を実施。研究論文を英医学誌「国際疫学ジャーナル(International Journal of Epidemiology)」に発表した。

 エクセター大スポーツ健康科学部のメルビン・ヒルズドン(Melvyn Hillsdon)氏は「座っていようが立っていようが、同じ姿勢で動かないことは、エネルギー消費が低く、健康に有害である可能性がある」と話す。

「今回の結果は、雇用者側が健康な職場環境を推進するために導入を進めている座位・立位の両用に対応した作業台のメリットに疑問を投げかけるものだ」

 調査対象者の死亡リスクに関して、仕事、余暇、テレビ視聴の時などに座っていることによる影響は全くないことが、今回の調査で分かった。

 NHSはウェブサイトに掲載した昨年の勧告の中で、過度に長時間座っていることと、肥満、2型糖尿病、一部の種類のがん、早死になどとを関連付ける「証拠が増えている」と指摘。NHSの推奨には、専門家のスチュアート・ビドル(Stuart Biddle)教授の「座ることは中断が不可欠」との発言を引用して、30分ごとに座り姿勢をやめ、体を動かす休憩を取るようにとある。

 ビドル教授は「コーヒーを飲んだり、雑談したり、手紙を書いたりといったタスクを立ってすることだ。米国の文豪アーネスト・ヘミングウェー(Ernest Hemingway)は、小説の原稿を立って書いていた」とも述べている。(c)AFP