【9月24日 AFP】英国で21日、イラン国籍の男性が警察署に駆け込み、イランに送還してほしいと頼み込んだ──「英国にうんざりした」というのが理由だ。しかし男性は合法的に英国に滞在していたため、その願いは叶わなさそうだ。

 24日付の英紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)によると、アラシュ・アリアさん(25)は10年間暮らしてきたイングランド(England)北西部マンチェスター(Manchester)で、暴力を受けたり不快な目にあったりしたと訴えた。職も見つからないという。

 マンチェスター市警のツイッターによると、「とても怒った若者」が21日、警察署の受付に現れ、「マンチェスターにうんざりしたのでイランに帰りたい」と要求した。だが、合法的に英国に滞在していることがわかったため、「自力で故郷に帰るしかないだろう」と同市警は述べた。

 アリアさんは、親戚の暮らすイラン南西部のシラーズ(Shiraz)に戻りたいと語っている。「マンチェスターの人々は歓迎してくれなかった。言葉や暴力など、多くのことで」とアリアさんは述べた。「私はフレンドリーで礼儀正しくしようと努めた。けれど彼らは私が外国人であるという理由だけで笑い、けげんな顔で私のことを見る」

 雨の多い都市として物笑いの種にされるマンチェスターを逃れたいというアリアさんの訴えには、同情を禁じ得ないとジョークにする英国人もいた。あるツイッター(Twitter)ユーザーは「マンチェスターに10年?送還どころか、この男性にメダルを授与しよう!」と投稿した。

 英国では、移民は非常に繊細な政治問題だ。中東やアフリカからの大勢の移民が英国に不法入国しようと、フランス北部の移民キャンプに押し寄せる中、デービッド・キャメロン(David Cameron)政権は欧州連合(EU)各国での難民分担受け入れ案を拒否している。(c)AFP