【7月2日 AFP】米統合参謀本部のマーチン・デンプシー(Martin Dempsey)議長は1日、米軍の運用指針となる「国家軍事戦略」を発表した。中国とロシアを米国の安全保障を脅かす国として名指しするとともに、世界の安定性が失われる中で米軍の技術的優位性が低下しつつあると警告している。

 4年ぶりに発表された新たな国家軍事戦略は、米国が大国と交戦し「計り知れない」事態に発展する可能性は「低いが、高まっている」と分析。各国が先進技術の開発に力を入れていることにより、米軍の技術的優位性が失われつつある点に懸念を示している。

 また、ウクライナ情勢にロシア軍が介入していたと指摘し、「ロシア軍は直接的・間接的に地域の安全保障を弱体化させている」とする一方、中国が南シナ海(South China Sea)で人工島建設を通じて軍事・民事における存在感を高めようとしている点に言及。「中国の動きは、アジア太平洋地域の緊張を高めている」と述べている。

 デンプシー議長は、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」など武装勢力への対処も迫られる中、「これからの紛争は従来より急速に発展し、長引く上、技術的難易度のはるかに高い戦場で展開されるだろう」と報告している。(c)AFP