■リビアは反発

 リビアには現在、トブルク(Tobruk)と首都トリポリ(Tripoli)にそれぞれ拠点を置く2つの政府が存在する。国際社会の支持を受けているのはトブルク側で、同政府は対立するトリポリ政府に加え、脅威を増しているイスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」とも戦っている。トブルク政府は今回EUが掲げたこの軍事行動計画に異議を唱え、EUはまずトブルク政府と協議するべきだと主張している。

 トブルク政府の報道官はAFPの電話取材に対し、「リビア領海の内外を問わず、船舶に対する軍事行動は人道的とは考えられない」という見方を示した。

 しかしEUのフェデリカ・モゲリーニ(Federica Mogherini)外交安全保障上級代表は、イタリア・ローマ(Rome)に作戦本部を置き、イタリア海軍の少将が指揮を執るこの軍事行動の作戦計画の作成は、直ちに開始されるとしている。

 モゲリーニ氏が記者会見で明らかにしたところによると、作戦はまず情報収集、次いで密航船の立ち入り検査を行い、最終的に船を破壊するという3段階で展開していくという。

 さらにモゲリーニ氏は、欧州首脳会談を経て来月にも作戦が正式に開始されるとの見通しを示し、船舶への攻撃も含めてEUが「作戦の全段階を実施」できるよう、国連安全保障理事会(UN Security Council)の承認を得ることを期待していると述べた。

 また同氏は、EUはリビアの両政府と連絡を取っており、「この問題では連携していきたい。EUが責任を果たせる部分もあるが、リビアが果たすべき責任もある」と指摘した。(c)AFP/Bryan McManus