【2月23日 AFP】強い紫外線が皮膚に与えるダメージは、露出後数時間継続するとの研究論文が、20日の科学誌サイエンス(Science)に掲載された。

 論文によると、太陽光や日焼け用器具(ランプ)に皮膚を露出すると、皮膚の色を変えるメラニン色素を作り出すメラノサイト細胞内のDNAが損傷し、この損傷が紫外線に露出している間だけでなく、その後も継続している可能性があるという。こうしたDNAの損傷は、皮膚がんの主な要因となっているとされる。

 メラニンについてはこれまで、太陽の紫外線を遮断する効果があり、皮膚を保護する大きな役割を果たしていると考えられてきた。しかし今回の研究では、この物質が一方では、皮膚の損傷にも関係している可能性が示唆された。

 研究を行った米エール大学医学大学院(Yale University School of Medicine)のダグラス・ブラシュ(Douglas Brash)教授(放射線治療学)をはじめとする研究チームは、マウスと人間のメラノサイトを日焼け用ランプの紫外線に露出させる実験を行った。

 実験では、細胞内の遺伝情報が正しく伝わることを妨げる「CPD」と呼ばれる特定の損傷が生じた。さらに、紫外線に露出している間だけでなく、露出後数時間にわたってCPDが生じ続けたことも確認した。

 研究チームは、紫外線が2つの酵素を活性化させ、これらが結合してメラニン内の電子を「刺激させる」可能性があるとしている。そして、このプロセスにおいて発生したエネルギーが、太陽光に露出していない皮膚のDNAに伝達され、露出時と同様の遺伝子損傷を受けることになったとした。

 研究チームは、これは憂慮すべき発見だが、化学プロセス自体は緩慢なため、こうしたエネルギーの伝達を阻止する「日焼け後」向け製品の利用で中和できる可能性があるとしている。(c)AFP