【2月6日 AFP】人間は性行動について「不特定多数」か「一途」かの二つに大きく分かれるとする説を裏付ける初めての証拠を得たとする研究結果が5日、英専門誌バイオロジー・レターズ(Biology Letters)に発表された。

 性的関係において、人間以外のほ乳類は種によって完全に一夫多妻制か、一夫一妻制かのどちらかだが、現生人類ホモ・サピエンスは種全体でいずれかに納まることはない。人間は何故、性的関係になるとほ乳類の中で例外なのかは長年の謎だ。

 今回、その答えを見つけたとするのは、英オックスフォード大学(University of Oxford)の実験心理学者ラファエル・ブウォダルスキ(Rafael Wlodarski)氏らの研究チームだ。「性的関係において、ひとところに『留まる』型と、『さまよう』型の男女群を比較」した。着目したのは性行動に関する二つの潜在指標だ。

 一つのデータは、北米と英国の18~63歳の回答者585人を対象に性的習癖について尋ねたインターネット・アンケートで、もう一つは、英国の男女1314人について行ったいわゆる「2D:4D比」に関する調査だ。

「2D:4D比」とは、薬指の長さで胎児期に影響を受けた男性ホルモン(テストステロン)の量が分かるとする暴露指標で、母体の胎内でさらされた男性ホルモンの濃度が高い多いほど、人差し指に比べて薬指が長くなるとされている。この人差し指に比べて薬指が長い人が、性的関係においては統計的に「不特定多数」傾向が高いとされてきた。

 今回、二つの調査のデータを合わせたところ、男性では57%が「不特定多数」型で、43%が「一途」型だった。女性ではこれが逆になり、「不特定多数」型は47%、「一途」型が53%だった。

 ただし、純粋に身体的特徴に基づく「2D:4D比」に関するデータだけでみると、男性67%、女性50%と、二つのデータを合わせたよりも男女共に「不特定多数」型の数値が高くなった。

 この違いは調査結果の解釈に慎重となる必要性を示していると研究者たちはいう。オックスフォード大のチームのロビン・ダンバー(Robin Dunbar)教授は「人間の行動は環境や人生経験など多くの要因に影響される。母親の胎内にいる間に起きることは、性的関係のような複雑な事柄に対して非常にわずかな影響しかもたらさないのかもしれない」と述べた。

 では、性行動の違いはどのように説明できるのだろうか。ダーウィンの進化論的な視点でいえば、複数の相手との性行為は、子孫が生まれる確率を高め、従って遺伝子が引き継がれる確率が高まる。一方、決まった相手とのより長期にわたる関係は、もっと個人的な努力を要するが、性行為の結果として誕生した子孫の生存の可能性が高まる。チームは「今回の研究が示唆しているのは、男女それぞれに二つの異なるタイプの個人がいて、異なる交尾戦略をとっているということだ」と述べている。(c)AFP