【1月7日 AFP】太陽はあなたの幸運の星か、それとも?──太陽は11年周期で「活動期」と「静穏期」を繰り返すが、その静穏期に生まれた人たちは活動期に生まれた人たちよりも平均して5年ほど寿命が長いとする研究結果が7日、英学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)に発表された。

 研究を行ったノルウェー科学技術大学(Norwegian University of Science and Technology)のチームが、教会の記録による1676~1878年生まれのノルウェー人8600人の人口統計データを、太陽の活動周期に関する観測データと重ね合わせて分析したところ、強力な太陽フレアと磁気嵐が発生する「太陽極大期」に生まれた人たちの寿命は、「太陽極小期」に生まれた人たちよりも平均して5.2歳短かった。また、この傾向は男性よりも、女性で顕著だった。

 太陽活動期には、黒点や太陽フレア、コロナ質量放出(CME)といった現象が増え、地球上の無線通信や送電の妨害、衛星への損傷、ナビゲーション機器の障害などが生じ得る。

■成長後の生殖活動にも影響か

 さらに太陽活動は、おそらく生物の細胞やDNAに損傷を与えることで繁殖活動に影響を及ぼすことが知られている環境ストレスの紫外線放射量とも関連している。

 また太陽活動期に生まれた人のうち、貧困層の家庭に生まれた女性の出産率は「大幅に減少」していたが、こうした生殖活動に関する違いは富裕層に生まれた女性や男性全般ではみられなかった。研究チームは「乳児の生存率、ひいては寿命だけではなく、生殖能力にも太陽の活動周期が関連していることを初めて示した」と述べている。ただし、現代に生まれてくる人々に同じ傾向がみられるかどうかは不明だ。

 一つの説明として、紫外線によって人体内にあるビタミンB群の葉酸が劣化する可能性が考えられる。研究チームは、出生前の葉酸不足は、胎児の疾病率や死亡率の上昇につながると指摘している。

 なお、今回の研究では太陽の活動期中に生まれた新生児について、活動期の開始から終了までのいずれの時点で生まれたのかについてまではデータを揃えることができなかった。また、紫外線への露出が出生前だったのか、出生後だったのかについても、区別することができなかった。

 チームは今回の研究とは人種や居住地域の緯度が異なる人々でも同様の結果が導き出されるかどうかを調査するなど、今後さらなる研究を行う必要があるとしている。(c)AFP/Mariette LE ROUX