【1月3日 AFP】インド政府は昨年12月31日、同国のナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相が提案した衛生キャンペーンの一環として、国民がトイレを使用しているかを調査する全国的な計画を発表した。

 インド政府は2014年10月より50万3142個の家庭用簡易トイレを国民に提供したが、専門家によると、インド国民の多くはトイレ使用が不潔で、自宅から遠い野外で排便するほうが清潔だと信じており、これらのトイレは物置として使われることが多いという。

 同政府が発表した声明によると、以前の検査はトイレ建設の事実のみについて行われていたが、今回は各家庭を訪問してトイレの使用がチェックされ、携帯電話やタブレット、iPadなどの機器を利用し、調査結果がリアルタイムでウェブサイトにアップデートされる。

 モディ首相は、昨年8月の独立記念日式典における演説で今回の衛生キャンペーンについて明らかにし、2019年までに、全家庭にトイレを設置すると誓約した。

 国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)の統計によると、インドでは人口の約半分に当たる約5億9400万人が野外で排便を行い、特に地方の貧困地域でその割合が最も高いという。

 2012年に行われた世界銀行(World Bank)の調査によると、トイレ不足や他の保健・衛生問題が原因となり、インドでは下痢などの病気や生産性の低下が発生し、年間540億ドル(約6兆5000億円)の費用がかかっているという。

 同国政府の新しい衛生キャンペーンは、国民にトイレ使用を促す効果を狙うもの。同政府は声明で、「衛生は考え方の問題。国民の行動を変えることで、トイレの必要性をつくりあげていきたい」と述べた。(c)AFP