【11月28日 AFP】ロケットの外側に付着したDNA分子は、宇宙空間に弾道飛行して地球大気に再突入する極高温下の宇宙旅行に耐えられる可能性があるとの研究論文が26日、米オンライン科学誌プロスワン(PLOS ONE)に掲載された。

 スイス・チューリヒ大学(University of Zurich)などの研究チームが発表した論文によると、2011年3月に打ち上げられた「TEXUS-49」ロケット・ミッションで行われた実験では「ロケット外部に塗布した箇所全てで、DNAを回収できたことが示された」という。

 論文の共同執筆者、チューリヒ大のコーラ・ティール(Cora Thiel)氏とオリバー・ウルリッヒ(Oliver Ullrich)氏によると、宇宙飛行に耐えたDNA分子は、1000度もの高温にさらされた後でも遺伝情報を細胞や細菌に伝えることができたという。

 今回の実験は「過去や現在の地球外生命の探査において、バイオマーカー(生体指標)となる可能性のある核酸のモデル」の根拠となる可能性があると、論文の執筆者らは指摘する。

「DNAは、地球外生命の痕跡を探るためのバイオマーカーとして重要な役割を果たす。科学者らは、地球条件と宇宙条件がDNAに及ぼす影響を比較、その特徴を解明する研究に取り組んでいる」と論文は述べている。

 研究チームは今回の実験で、蛍光マーカーを付加した人工プラスミドDNAをロケットの機体の3か所に付着させた。実験の当初の目的は、宇宙へ飛行して地球に帰還する間のバイオマーカーの安定性を試験することだった。

 ティール氏とウルリッヒ氏は、実験結果が「全くの予想外」だったと言う。DNA分子は宇宙旅行には耐えられないだろうと両氏は考えていた。

「無傷で、機能的に活性なDNAをこれほど多く回収できるとは思いもしなかった」と両氏は話す。

 今回の結果は、地球由来DNAによる宇宙船、着陸探査機、着陸地などの汚染に関する懸念をもたらすと研究チームは指摘している。

「これは、宇宙空間から地球にもたらされる問題であるだけでなく、地球から宇宙や他の惑星にもたらされる問題でもある」と論文の共同執筆者らは述べている。(c)AFP