■外国人が標的になる恐れ

 イスラム国はソーシャルメディアを駆使して、世界に向けてメッセージを送っている。東南アジアのソーシャルメディア利用率は世界的にも高水準にあることから、その影響が懸念されている。

 ジャカルタ(Jakarta)に拠点を置く紛争政策分析研究所(Institute for Policy Analysis of ConflictIPAC)は先週、敵対する人々を殺害せよとのイスラム国の呼び掛けをインドネシアの一部の過激派が支持していることから、同国で外国人が再び攻撃の対象になる恐れがあると警鐘を鳴らした。

 イスラムの専門家、ジョゼフ・チンヨン・リョー(Joseph Chinyong Liow)氏は、東南アジアにおけるテロ対策能力はJIの勢力が絶頂期を迎えて以降、劇的に高まっていると指摘。一方で、JIはネット上や、東南アジアのイスラム社会やネットワークを通じて、戦闘員募集活動を強化していることから、当局は引き続き警戒すべきだとも述べた。

 以前から比較的厳重な過激派対策を講じてきたマレーシアの当局は、イスラム国の脅威に対しては適切な対処ができていると強調している。警察のテロ対策担当者は8月、AFPの取材に対し、過去数か月で逮捕された19人の容疑者が、マレーシア国内で爆弾テロを計画していたイスラム国支持者だったと語った。また先月25日には、フェイスブック(Facebook)上でイスラム国の勧誘を受け、国外に渡ろうとした3人が逮捕されている。

 同担当者は「われわれは各種ウェブサイト、フェイスブックやツイッター(Twitter)のアカウントを監視している」「(イスラム国に)関与した者たちが帰国後に過激活動に関わる可能性が高い」と述べた。

 専門家らは、カトリック教徒の多いフィリピンも、テロ対策能力が比較的低く、イスラム教徒の多い南部の一部地域を掌握しきれていないことから、懸念の元となる可能性が高まっていると指摘している。フィリピン当局は、自国民がシリアやイラクに渡航している証拠はないと主張しているが、南部の地方当局は、イスラム国の勧誘行為が増加していると警告している。(c)AFP/Dan Martin