【7月7日 AFP】河川流域の重力場の微小な変化を衛星で監視することで、破滅的な洪水の発生について最大11か月前から警告を発することが可能になるかもしれないとの研究論文が、6日の英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)」に掲載された。

 米カリフォルニア大学アーバイン校(University of California, Irvine)の研究チームは、土地利用に関する知見と米航空宇宙局(NASA)の重力監視衛星グレイス(GRACE)の観測データを組み合わせて、ミシシッピ川(Mississippi River)流域の地図を作製した。

 その結果、重力の微小な増加は、土地の「湿気」が高くなっているのを示していることを研究チームは発見した。

 土地の湿気は、流域が異常な量の降雨や雪解け水に突然襲われた場合に川がどのような反応を示すかについて事前に知るための指標となる。

 土地は湿気が低ければ低いほど、多量の水を吸収して蓄えることができる。だが土地がすでにかなりの湿気を含んでいる場合、水はすぐに河川に流出し、水位を上昇させることになる。

 研究チームは、2011年5月から6月にかけてミズーリ川(Missouri River)流域で発生した500年に1度ともされる大洪水を対象に、この予測法の有用性を検証。すると、このモデルは洪水リスクについて、発生の6~11か月前に、幅はあるが有用な予測情報を提供できることが分かったという。

 これに対し、積雪水量や土壌湿度の実地測定が有用な指標になるのは、洪水発生前の最大2か月程度。また、気象予報が正確に予測できるのは3~10日先までとされている。

「河川流域は、蓄えた膨大な量の水を河川に流出させることで飽和状態を緩和しなければならないため、飽和によって誘発される事象は、広範囲に被害を及ぼす局地的洪水を引き起こす可能性が非常に高くなる」と論文は警告している。

 一方で、河川流域が水文学的にどのような挙動を示すかに関して正確な状況を把握すること、すなわち、土地の利用や水利がどのように行われているかや、水がどこでどのようにして川に流入するかなどを知ることに、今回の手法は依存していることを留意する必要があると、研究チームは指摘している。(c)AFP