■「攻撃的衝動」と「攻撃的行動」

 しかし実際にはヘッドホンから騒音が流れることはなく、また夫婦の対戦相手はコンピューターで、勝率は半々になるようあらかじめ決められていた。

 しかしこの実験を通じて、就寝前の平均血糖値が低い人に、騒音を長時間、大きな音で配偶者のヘッドホンに流す意思を示したことが明らかになった。

 さらに、これらの実験結果を分析した結果、人形に多くの針を刺した人ほど、相手に騒音を長時間大きな音で聞かせようとしたことも判明した。

 これらのことから、人形を使った実験で見られた「攻撃的衝動」と実際の「攻撃的行動」との間に明らかに関連性があることが分かったとブッシュマン氏は述べている。

 同氏によると、脳の重さは体重の2%程度にとどまるが、消費するカロリーは全体の約20%を占めるという。またブドウ糖が脳にとってのエネルギーの役割を果たしているとしたうえで、怒りや攻撃の衝動を鎮めるのに必要となる「自制心」には、ブドウ糖が不可欠であると説明した。

 今回の実験結果をめぐりブッシュマン氏は、「単純だが確実なアドバイスをひとつ。配偶者と難しい話し合いをする前に、空腹でないことを確認しよう」と述べた。(c)AFP