【3月15日 AFP】西アフリカ・ガンビアのヤヤ・ジャメ(Yahya Jammeh)大統領(48)は先週、英語を公用語から外すと発表した。旧宗主国・英国への対抗姿勢を示す新たな動きとみられる。

 6日に行われた新司法長官の就任式の場で、ジャメ氏が今回の決定を英語で発表する様子が、動画共有サイトのユーチューブ(YouTube)に投稿された。「今後われわれは自分たちの言葉を話すことにする」と述べたものの、英語の代わりにどの現地語を採用するのかについては明らかにしなかった。

 ガンビアには、英語の代わりとなり得る選択肢が複数ある。国民の40%がマンディンカ語、34%がフラニ語またはウォロフ語を話す。ジャメ氏自身は少数民族のジョラ(Jula)出身で、ジュラ人は近隣国のマリで話されているバンバラ語に最も近いとされるマンディン語を話す。

 ガンビアは昨年10月、「植民地主義の延長だ」として、かつて英連邦に属していた国々が加盟する英連邦(加盟54か国)からの脱退を表明し、加盟各国を仰天させた。ジャメ氏は、世界のどこであっても、英国には人権について語る「道徳的土台」が備わっていないと発言したこともあった。

 ジャメ氏は「そもそも英国人なぜガンビアにやって来たか。それは象牙取引のためだった。ガンビアにはゾウがたくさんいたから」「ゾウを捕り尽くしたら、今度はアフリカ人を売り始めた。奴隷制度を確立したのは英国人だ」「彼らが唯一われわれに残したもの、不運にもそれは英語だった」と語った。

 ジャメ氏はこれまで頻繁に、人権侵害や報道抑圧を非難されている。2008年には国内で同性愛行為が発覚した者は「斬首する」と述べ、同性愛者に国外退去を求めた。その2年後、欧州連合(EU)は、ガンビアの人権と統治の状況に懸念を示し2200万ユーロ(約31億円)の資金援助を中止している。(c)AFP