■EU各国は関係強化を

 研究を通じて出された評価は、河川流域1000か所以上での河川流出と、現在および将来の洪水防止計画に関するデータに基づいている。シミュレーションでは、今世紀に2.8度の気温上昇が起きるとするいわゆる「SRES 1B」気候モデルが用いられた。

 また、今後見込まれる資産価値の増加や水害の起きやすい地域での建築物の増加など、社会経済学的要因も考慮された。

 こうした問題に取り組むには、大掛かりな対策を講じる必要があるため、EU各国は災害を防止・対処するために協力関係をより一層強化しなければならないと論文の執筆者らは警告している。

 IIASのステファン・ホックライナー・スティグラー(Stefan Hochrainer-Stigler)氏は「欧州中部で氾濫した河川は、東欧地域でも洪水を起こす可能性が高い」と指摘。さらに汎欧州基金のような、災害リスクに対する資金面の備えを確保し、事態に対応できるように準備する必要があると述べた。

 また「洪水が1度発生すると、経済上および政治上の境界線に関係なく、短期間に広い範囲に影響が及ぶ恐れがある」とも説明している。(c)AFP