【2月25日 AFP】主に中東で80人近い死者を出している中東呼吸器症候群(Middle East Respiratory SyndromeMERS)を引き起こすウイルスがラクダにまん延しており、ラクダからヒトへ直接感染が起こっている恐れがあるという研究結果が25日、専門誌のオンラインジャーナル「mBio」で発表された。

 研究結果をまとめた米コロンビア大学(Columbia University)のイアン・リプキン(Ian Lipkin)氏は、研究によりMERSウイルスがラクダに「非常に多く」見つかっており、少なくとも過去20年存在していることが分かったとしている。

 リプキン氏はAFPに対し、「サウジアラビアの一部地域では、若いラクダの3分の2の気道に感染力のあるウイルスが確認された」として、「ラクダがヒトへの主な感染源になっていると考えるのが妥当」との見解を示した。

 リプキン氏は米国立アレルギー感染症研究所(National Institute of Allergy and Infectious DiseasesNIAID)の研究員ら、さらに研究論文の主執筆者であるキング・サウード大学のアブドゥルアジズ・アルアガイリ(Abdulaziz Alagaili)氏と研究を行った。

 世界保健機関(World Health OrganizationWHO)によると、2012年9月以降、MERSウイルスへの感染が確認されたのは182人で、うち79人が死亡している。感染源やヒトへの感染経路については、これまで解明がほとんど進んでいなかった。(c)AFP/Kerry SHERIDAN