【1月29日 AFP】軟体動物の殻はもろい無機物でできているにもかかわらず硬くて丈夫だが、その構造にヒントを得て、標準的なガラスの200倍の強度を持つガラスを開発したとの研究論文が28日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された。

 直感に反するようだが、このガラスは極小の「ひび」を網目状に入れることで強度を高めているという。

 カナダ・マギル大学(McGill University)の研究チームは、研究を開始するにあたって、軟体動物の殻、骨、爪などの、もろい無機物でできているにもかかわらず、驚くほど強靭(きょうじん)な天然物質を詳細に調べた。

 するとその秘密は、これらの無機物が結合し、より大きく頑丈な構成単位を形成していることにあることがわかった。

 つまり、結合の境目に当たる「界面」と呼ばれる小さな断層線が殻に多数含まれていることになる。これは一見すると「もろさ」につながると思われるが、実際には外部からの力をうまくそらす働きをしている。

 一例を挙げると、真珠層や真珠母として知られている、一部の軟体動物の殻の内側にみられる光沢のある層状構造は、これを構成する無機物の約3000倍の強度を持っている。

「弱い界面を含ませることで物質の強度を高めるのは、直観に反するように見えるかもしれないが、天然物質では普遍的で強力な戦略になっているように思われる」と論文は述べている。