■問題の本質は「選択能力」

 一方、他の国々を対象にした調査では、その結果が異なる現状を伝えている。少なくとも豊かな英語圏の国以外では、子どもを持つ人たちに人生への満足度が低い傾向が見られた。

 出生率が高い国ほど、子どもを持つ人は持たない人に比べて人生に対して低い評価を付ける傾向が強い。

 貧しい国々では個人の幸せを後回しにして、労働力の確保などといった目的が優先される傾向にあると研究チームは指摘する。

 人々は個人レベルではむしろ子どもを持ちたくないと思っていても、社会規範や両親、地域からのプレッシャー、あるいは子供を産むことで果たす社会貢献などのために子どもを持つこともある。

 ギャラップの調査では、対象者は初めに自分の人生を評価し、続いて収入などの一連の質問と子どもの有無について答えた。「子どもを持って幸せか」、「子どもを持つ場合と持たない場合とで人生観にどのような影響が出るか」などの直接的な質問はされなかった。

 米プリンストン大学(Princeton University)の経済学者で論文の主著者であるアンガス・ディートン(Angus Deaton)氏は、問題の本質は「選択能力」だと語る。

「(最終的に)大切なことは、『やりたいようにやっていい』ということ。子どもを持てば幸せになれると思う人にとっては、おそらくそれが真実だし、そうではないと思う人にとっては、おそらくそれも真実だろう」

(c)AFP/ Kerry SHERIDAN