【12月13日 AFP】米科学誌サイエンス(Science)で12日に発表された研究論文によると、遺伝子の制御に関して指示を出していると考えられる新たなDNAコードが見つかったという。科学者らはこれまで、DNA(デオキシリボ核酸)は細胞にタンパク質の作り方を教えるものと長年信じてきた。

 この研究結果については、医療関係者らが病気を解明したり診断したりするために患者のゲノム(全遺伝情報)をどのように利用するかをめぐり、大きな意味を持つかもしれないと研究者らは話している。

 人体のほぼすべての細胞に存在する遺伝物質であるDNA内で新たに発見された遺伝コードは、科学者らがすでに解読済みのDNAコードに「重ねて」書かれているという。

 この新たに見つかったDNAコードは、タンパク質に関わるものではなく、遺伝子をどのように制御するかに関して細胞に指示を出すものとされる。

 この発見が意味するものは、加齢、もしくはウイルスへの反応により発生するDNAの変化や突然変異が、これまで科学者らが考えていた以上のことをしているかもしれないということだと研究チームは指摘する。

 研究を率いた米ワシントン大学(University of Washington)のジョン・スタマトヤンノプロス(John Stamatoyannopoulos)准教授(ゲノム科学・医学)は「遺伝コードに影響を及ぼすDNAの変化は、タンパク質がどのように作られるかだけに影響するものだと、40年以上にわたり考えられてきた」と語り、「ヒトゲノム解読に関する基本前提に関しては、実態の半分しか把握していなかったことが、これで明らかになった」と付け加えた。

「タンパク質配列を変えていると思われる多くのDNAの変化は、実際には遺伝子の制御プログラムまたは両方の仕組みを同時に破壊することで、病気を引き起こしているのかもしれない」(スタマトヤンノプロス准教授)

 遺伝コードでは、コドン(codon)と呼ばれる64種のアルファベット(塩基)を組み合わせた暗号が使われることは良く知られている。だが、このコドンの一部が2つの意味を持つことを研究チームは明らかにした。

 デュオン(duon)と新たに命名されたこのDNA言語の新要素は、タンパク質の配列に関連する意味と遺伝子の制御に関連する意味とを持っている。

 後者は命令によって「タンパク質が持つ特定の有益な機能と、タンパク質の生成過程を安定化させているように思われる」と論文は述べている。

 今回の発見は、DNA研究の国際プロジェクト「ENCODE」として知られる研究グループの国際共同研究の一環としてもたらされた。(c)AFP