【12月5日 AFP】メキシコの当局は4日、放射性廃棄物の貯蔵施設に向かう途中で強奪されていた放射性物質を、首都メキシコ市(Mexico City)の北郊で発見した。当局がAFPに明かした。放射性物質は、積まれていたトラックから降ろされた状態で見つかっており、物質に触れた者には命の危険があると、当局は警告している。

 メキシコ原子力安全・保障措置委員会(CNSNS)の関係者によると、2日に盗難被害に遭った放射性物質コバルト60入りの医療機器は、鋼鉄で補強された容器から取り出され、トラックから何百メートルも離れた場所に置かれていた。

 軍と警察は放射能汚染を防ぎ、機器を安全に回収するため、機器が発見された中部メキシコ(Mexico)州の現場周辺を封鎖した。現場は都市部とは離れているため、住民の避難指示は出されていない。

 機器を積んだ白いフォルクスワーゲン(Volkswagen)のトラック「ワーカー(Worker)」は、同機器を同国北西部ティフアナ(Tijuana)にある病院からメキシコ州にある放射性廃棄物貯蔵施設に輸送する途中、中部イダルゴ(Hidalgo)州のガソリンスタンドで、銃を持った男2人に強奪されていた。

 国際原子力機関(IAEA)はこの物質について、周囲を取り囲む遮蔽物が取り除かれれば「極めて危険」だと警告している。また専門家らによれば、トラックに積載されていた60グラムのコバルト60は、放射性物質をまき散らす「汚い爆弾」を製造するのに十分な量だという。(c)AFP