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集中治療後の患者にみられる脳障害「非常に一般的」、米研究

2013年10月7日 7:18 発信地:ワシントンD.C./米国

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集中治療後の患者にみられる脳障害「非常に一般的」、米研究
ドイツ北部リューベック(Luebeck)の病院の集中治療室(2011年6月7日撮影)。(c)AFP/MARKUS SCHOLZ

【10月7日 AFP】心臓発作などで病院で集中治療を受けた人の多くが、外傷性脳損傷と同様の長期的な精神機能欠損に見舞われるとする研究論文が2日、米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に発表された。

 論文によると、こうした問題は「非常に一般的」にみられ「せん妄」として知られる状態を伴う。集中治療室(ICU)で処置を受けた患者の4分の3が経験し、そのうち最大で3人に1人が、その後少なくとも1年間にわたって続く脳障害が起こるという。せん妄は重症患者に一般的にみられる精神が非常に混乱した状態のことで、鎮静剤や鎮痛剤が大量投与されたときに起こりやすいことが分かっている。

 研究を主導した米テネシー(Tennessee)州バンダービルト大学(Vanderbilt University)医学部のウェス・イーリー(Wes Ely)教授は、医学界は概してこの現象に気付いてないため、こうした患者の多くが「悪夢の中に1人取り残される」状況にあると指摘。「多くの人が脳障害のある状態でわれわれの治療の手を離れていく。なのに、一般的に医療専門家たちは、この問題を全く疑問視していない。救命措置を施し、生命維持装置が不要となり、ショック状態が収まれば、われわれは自分の仕事は済んだと考えて、患者を立ち去らせてしまう。患者たちは命は救われたかもしれない。だが、彼らが退院するとき、全く別の新たな問題と共に病院を去ることになるのだ」と述べている。

 今回の研究で対象となった患者は18~99歳までの計821人で、平均年齢は61歳。このうち、入院時に何らかの認識機能障害を自覚していた人は6%だったとされる。集中治療に搬送された理由は深刻な心臓発作、呼吸不全、敗血症性ショックなどだった。このうち74%が入院中にせん妄を発症し、その状態は多くの場合4日間続いた。

 その1年後、研究チームが知能検査を実施したところ、結果は3人に1人が外傷性脳損傷を負った人と同程度の得点で、4人に1人がアルツハイマー病患者と同レベルだった。結果に年齢による差はみられなかった。

 研究によれば、入院中にせん妄状態にあった期間が長いほど、後に発症する精神機能での問題も大きかったという。イーリー教授は、ICUで治療を受ける患者に付き添う家族は、医師や看護師が患者のせん妄状態を監視しているかどうか確認すべきだと述べた。さらに教授は、代替手段があるならば患者を昏睡状態におかず、患者の苦痛を和らげるとともに、不要に大量の薬物投与は避けるべきだと助言している。

 イーリー教授らの研究について、ニューヨークにある神経心理分析協会(Neuropsychoanalysis Foundation)のマギー・ゼルナー(Maggie Zellner)会長はAFPの取材に電子メールで応じ、「脳へ送られる血流や酸素、栄養素などを減少させるさまざまな状況が、認識機能障害を引き起こすことを示す研究だ。集中治療を生き延びた患者全てが、退院後に精神的なフォローを受けられるようにすべきだ」と語った。(c)AFP/Kerry SHERIDAN

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