【9月11日 AFP】国連(UN)は10日、アジア太平洋地域の6か国で実施した調査で、対象となった男性の4人に1人近くがレイプの経験があることを認めたとの結果をまとめた報告書を発表した。被害者は男性自身のパートナーであることが多かったという。

 国連はバングラデシュ、中国、カンボジア、インドネシア、スリランカ、パプアニューギニアの6か国で18~49歳の男性1万人以上を対象に匿名の聞き取り調査を行った。この規模の調査が実施されたのはアジア太平洋地域では初めてで、女性に対する暴力がまん延していることが明らかになった。

 一方で、レイプの発生率は地域によって大きく異なるため、今回の調査地区がその国の全体を表してはいないことに、国連は注意を促している。

■合意に基づかない性交、男性の62%にまん延の地域も

 調査ではレイプの定義を「合意に基づかない性交」と定義した。調査対象の男性全体で、パートナー以外をレイプしたことのあると答えた割合は11%だった一方、パートナーを含めた場合だと24%に上った。また、レイプを認めた男性の45%が、2人以上の女性をレイプしたことがあると回答した。

 また驚くべきことに、レイプを認めた男性の半分が10代の少年で、12%が15歳未満だった。さらに、回答した男性の大半が、レイプに対する法的な処罰を受けたことはないと答えた。

 レイプを認めた男性の割合が最も高かったのは、パプアニューギニアのブーゲンビル(Bougainville)島で、62%だった。同島は1998年までの10年間にわたる内戦で荒廃し、法的プロセスよりも地域社会による私刑が優先されることが多い。

 また、隣国インドネシアのパプア(Papua)州では男性の49%近くがレイプをしたことがあると回答した。一方、首都ジャカルタ(Jakarta)では26%だった。

 中国のある地域では、この割合は22%に達した。対象6か国の中では最も多い5地域で調査が行われたカンボジアでは、20%がレイプを認めた。

 調査を行ったエマ・フル(Emma Fulu)氏によると、母親が暴力を振るわれているのを目撃した経験のある男性や、買春の習慣がある男性は、暴力を振るう割合がより高かった。フル氏は、この暴力の反復を打破するためには、若者たちが「同意するとはどういうことか」について理解を深め、人間関係における「性や男らしさを理解する」必要があると付け加えた。

■男性側を対象に、理由も調査

 過去の調査は主に犯罪事例に頼ったもので、不完全だったり歪曲されていたりする可能性があった他、男性ではなく女性側の証言を基にしたものが多かった。

 今回の調査は新たな方針を採用し、訓練を受けた調査員が各地で1対1で長時間の聞き取り調査を実施。回答者には匿名の保証が与えられた。

 男性への質問は「レイプをしたことがあるか」という直接的なものでなく、「妻や恋人でない女性に性交を強要した経験はあるか」や「泥酔していたり薬物を与えられたりして、本人の意思を確認できない女性と性交をしたことがあるか」などだった。

 さらに男性には、その行為をした理由についても聞いた。

 回答者の4分の3近くは、「彼女(被害者)を手に入れたかったから」や「セックスがしたかったから」など、自分には性的欲求を満たす資格があるという考えを示唆する回答を行った。また、「娯楽のため」と回答した人は59%に上り、「女性を罰するため」と回答した人は38%に上った。(c)AFP/Aidan JONES