【7月18日 AFP】公害やその他の環境汚染によってインドが被る損失は国内総生産(GDP)の6%近くに当たる年間800億ドル(約8兆円)に上ることが、世界銀行(World Bank)が17日に発表した報告書で明らかにされた。

 インド政府の要請によって作成された同報告書は、インドの環境被害の影響を評価したもので、同国が直面する主な環境問題として大気汚染や飲料水の汚染を挙げている。またこの2つの問題が、インドで多くの子どもが亡くなる原因になっていると指摘している。

 首都ニューデリー(New Delhi)で報告書を発表した世銀のシニアエコノミスト、ムトゥクマラ・S・マニ(Muthukumara S. Mani)氏は「(インドの)子どもの死亡例の約23%と成人の死亡例の約2.5%は、その原因を環境汚染に求めることができる」と述べた。

 報告書は132か国を対象とした最新の調査結果を引用。その中でインドは隣国の中国をも下回り、「環境パフォーマンス」で126位、「大気汚染」では最下位となっている。これには発電所や交通渋滞、産業汚染など複数の要因が絡んでいる。

 世銀報告は、経済成長にマイナス影響を与えずに有害な炭素排出を削減することは可能だと宣言しており、マニ氏も「環境保全技術(グリーン・テクノロジー)に切り替えることで、インドはGDPをほとんど犠牲にすることなく(炭素)排出を削減できる。たとえ多少(GDPの)損失がでたとしても、その分は実際に健康面に表れる利益で相殺される」と述べている。(c)AFP