【6月18日 AFP】8年前に頭部を損傷し、フランス語訛りの英語を話すようになったオーストラリアの女性が、そのことが原因でストレスを感じ、自宅に引きこもる生活を送っていると、16日のオーストラリア放送協会(Australian Broadcasting CorporationABC)とのインタビューで打ち明けた。

 オーストラリア南部のタスマニア(Tasmania)島で生まれ育ったリアン・ロウ(Leanne Rowe)さんは、自動車事故で背中とあごの骨を折る重傷を負った。「あごが徐々に治り始めたころ、とても強い薬剤を服用しているため言葉が不明瞭になると言われました」。回復したロウさんは、自分が話す言葉に強いフランス語訛りがあることに気づいたという。

 そうした状況は、ロウさんの日常生活に大きな影響を及ぼした。人前ではたいていロウさんの娘がロウさんに代わって話してくれる。ロウさんは、「人があまり多くない夜間の方が好き。とても落ち着くのです」と話す。

 最終的な診断は下されてはいないが、主治医のロバート・ニュートン(Robert Newton)氏によると、オーストラリアで2番目の症例となる「外国語様アクセント症候群(Foreign Accent SyndromeFAS)」というめずらしい病気の可能性が高いという。

「ロウさんは学校でフランス語を習ったことはありますが、フランスを訪れたことは一度もなく、フランス人の友人もまったくいません」(ニュートン医師)

■非常にまれな病気、世界でわずか数十例

 正式な報告によると、1907年に最初の症例が記録されて以後、この症状に悩む患者の数は世界で数十人しかおらず、脳の発話をつかさどる部分が損傷を受けたことに関係があるという。

 ニュージーランドでは2010年、多発性硬化症を患っていた女性が、自身のニュージーランド訛りがいつのまにかウェールズ、スコットランド、ロンドン北部の訛りが混ざり合ったような話し方に変わっていることに気づき、その後受けたスキャン検査で、脳に2か所の損傷があることがわかった。

 また、英国では3年前、片頭痛を患っていた女性が中国語訛りの英語を話すようになったという。(c)AFP