【5月21日 AFP】米中部オクラホマ(Oklahoma)州で20日、風速90メートルの巨大な竜巻が発生し、州都オクラホマシティ(Oklahoma City)郊外では少なくとも2つの学校と多数の住宅が壊滅的な被害を受けた。米メディアは同州医療当局の発表としてこれまでに51人が死亡し、犠牲者は増える見込みだと報じている。

 米テレビCNNのほか、NBC系列のKFORによると犠牲者のうち2人は冷凍庫に避難しようとしていた母親と乳児だという。

 またKFORのリポーターは、オクラホマシティのすぐ南にある人口5万5000人のムーア(Moore)の学校で、9歳の生徒たちが竜巻で飛ばされるのを目撃した。学校の内部には多数の生徒が閉じ込められているとみられ、親たちは遠くから救援隊の救出活動を不安げに見守っている。

 ブライアウッド(Briarwood)の小学校も竜巻の直撃を受けたが、多くの生徒たちは助かったという報道もあり、現時点では死傷者はいないもようだ。

 KFORがヘリコプターで上空から伝えた映像から、壊滅的な被害が広い範囲にわたっていることが分かる。ムーアでは、あらゆる通り沿いで平屋建ての住宅の屋根が吹き飛ばされ、飛ばされた車がおもちゃのように積み重なっている。電柱は倒れ、ガス管がむき出しになり一部では小規模な火災も発生した。

 CNNによると、ムーアの病院では建物が竜巻の被害を受け、中にいた人たちは避難したという。救援活動を支援するため州兵も招集された。

■1999年にも大きな被害

 西から東に抜けた20日の竜巻は、ムーアやオクラホマシティ南部を襲い、犠牲者44人、家屋数千棟の被害を出した1999年5月の竜巻とほぼ同じ進路をとった。

 オクラホマでは広大な平野で竜巻が発生することは珍しくない。だが20日の竜巻は人口密集地を直撃しており、多数の犠牲数が出るとの懸念が高まっている。

 オクラホマでは土質が硬いため、竜巻発生時に避難できる地下室を備えている家は少ない。

 オクラホマシティは、竜巻が頻繁に発生することから「竜巻街道」と呼ばれるサウスダコタ(South Dakota)州からテキサス(Texas)州にかけての地域内に位置する。(c)AFP