【4月22日 AFP】丸みを帯びたフロント部、車体後部には航空機のようなフラップ(高揚力装置)付き――こんなデザインの空気力学に基づいた貨物トラックならば燃料費を節約し二酸化炭素排出量も削減できるうえ、交通事故も防げるとして、欧州委員会(European Commission)が貨物トラックの形状向上を促す提言を行った。

 同委員会のシーム・カラス(Siim Kallas)委員(運輸担当)は15日、「現在の貨物トラックの形状は空気力学的な効率性からは、ほど遠い。欧州の道路を走る貨物トラックの形状を向上させる必要がある」と訴え、1996年に制定された重量物運搬車に関する規制の見直しを要請した。

 欧州委員会は、空気力学に基づいた形状の貨物トラックならば、燃費効率が向上し温室効果ガスの排出量を最大で10%削減できる上、運転中の視野も広がり自転車や歩行者をはねる危険性が著しく減少すると主張している。

 カラス委員によれば、最も典型的な貨物トラックの走行距離を年間10万キロとして、毎年5000ユーロ(約65万円)の燃料費が節約できるという。

 丸みを帯びた車体のトラックは、欧州の貨物トラック650万台のうち特に長距離輸送に従事する100万台にとって有益だという。

 欧州の内陸輸送の70%以上を道路輸送が占めていることから、カラス委員は規制の見直しは「欧州の自動車メーカーにとって、新型トラック開発に向けた良いスタートとなる」と語った。

 欧州委員会による提言は、欧州議会(European Parliament)と加盟27か国による承認手続きを経て正式に発効する。このため、新型の貨物トラックが路上に登場するとすれば、2018~20年頃となる見通しだ。(c)AFP