【2月13日 AFP】2003年からの7年間でチグリス(Tigris)・ユーフラテス(Euphrates)両河川流域の淡水資源が大幅に減少していることが、米国の人工衛星のデータから判明したとの研究が発表された。イラク、イラン、トルコ、シリアにまたがる両河川の流域では、死海にほぼ匹敵する水量が失われたという。

 研究主任のジェイ・ファミグリエッティ(Jay Famiglietti)氏は「この地域の水使用量の水準や調達可能量にもよるが、(失われた水量は)域内数千万人から1億人以上の年間の水需要をまかなうのに十分な量だ」と指摘する。

 原因には2007年の干ばつや湖の水量減少なども挙げられたが、減少の60%ほどを占める最大の要因は地下水のくみ上げに起因するものだった。

 地下水のくみ上げは、干ばつ時と干ばつ後に増加する。ファミグリエッティ氏は一例として、2007年の干ばつへの対応として、イラクではおよそ1000基の井戸が新たに掘られたことを挙げた。

「2007年の干ばつ後の(水資源の減少)割合は特に衝撃的だった。淡水需要は増加の傾向にあるものの、地域の国々は国際法に対する解釈の相違から水資源管理で協調できないでいる」とファミグリエッティ氏は指摘した。

 研究は15日の米学術誌「水資源研究(Water Resources Research)」に掲載される予定。米カリフォルニア大学アーバイン校(University of California at IrvineUCI)と米航空宇宙局(NASA)のゴダード宇宙飛行センター(Goddard Space Flight Center)、米国立大気研究センター(National Center for Atmospheric ResearchNCAR)の科学者が、世界各地の水資源の変化を記録するNASAのGRACE衛星が7年間で収集したデータをもとに研究を実施した。(c)AFP