【12月30日 AFP】フランスの法律や条約に関する違憲審査を行うフランスの憲法会議(Constitutional Council)は29日、所得税の最高税率を75%とする政府の税制措置は違憲であるとの判断を下した。富裕層への増税を税制政策の最重要項目に掲げてきたフランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領と与党社会党にとっては、大きな痛手となる。

 来年1月から2年間に限り、富裕層の所得税率を引き上げるというこの一時的な措置について憲法会議は、世帯全体ではなく個人に適用されるものであることから、税の公平性の原則に反していると指摘した。

 与党は公約で、年収100万ユーロ(約1億1400万円)を超える人の所得税率を引き上げるほか、憲法に従った新たな税制を提案するとしていた。しかし、所得税率を75%に引き上げたことは国内の財界首脳の怒りを買ったほか、租税回避を目的とした富裕層の海外流出を後押しする形となった。有名俳優のジェラール・ドパルデュー(Gerard Depardieu)さん(63)が課税を逃れるため、ベルギーに移住したことも伝えられている。

 フランス国民のわずか約1500人しか適用対象とならない75%の所得税率は、大方において象徴的なものにすぎない。だが、与党はこれを、税制赤字問題への対策に、富裕層により大きく貢献してもらうためのものだと主張している。(c)AFP/Michael Mainville