【12月20日 AFP】米コネティカット(Connecticut)州の小学校で起きた銃乱射事件を受けて、米国で防弾スクールバッグの売り上げが急増している。背景には、わが子の身を案じる親たちの必死の思いがある。

「武器を保有し、携行する権利」を認めた合衆国憲法修正第2条(Second Amendment)を企業名に冠したユタ(Utah)州の「アメンドメント・セカンド(Amendment II)」社によると、前週14日のコネティカットの事件以来、売り上げは10倍以上伸びているという。

 同社の防弾リュックは1つ300ドル(約2万5000円)弱。男子用はマーベル(Marvel)コミックのヒーローが集結する映画『アベンジャーズ(The Avengers)』、女子用にはディズニーの『リトル・マーメイド(Little Mermaid)』のキャラクターがそれぞれ柄になっている。

 一方、ニューハンプシャー(New Hampshire)州の企業「バレットブロッカー(BulletBlocker)」では、リュックの中に入れて使う本型の軽量防弾ボードを150~200ドル(約1万2600~1万7000円)で販売している。事件後の売り上げは40%増で、1日に40枚が売れているというが、同社のElmar Uy副社長は「何も保証はできない。保護者向けの気休めにすぎない」と強調している。

「ブラック・ドラゴン・タクティカル(Black Dragon Tactical)」という企業でも、事件以降は毎日30枚の「防弾パネル」が売れているという。小学校での惨事について「マヤの予言でいう世界の終わりだ」と悲観するデビン・スタンダード(Devin Standard)同社社長は、こう述べた。「229ドル(約1万9000円)で守る価値が、自分の命にあるかどうか。そう考えれば、ほとんどの人が『イエス』と答える」

「車を持っていれば自動車保険に入るし、家があれば家財保険に入る。ちょっとばかり気休めなだけで、実際にはほとんど使わない。けれど万が一まずい状況に巡り会ってしまった時のために、いつも用意しておくんだ」

 コネティカット州ニュータウン(Newtown)で起きた事件では、20歳の容疑者が母親を射殺した後、近くのサンディフック小学校(Sandy Hook Elementary School)に侵入し銃を乱射、1年生20人と職員6人を殺害した後、自殺した。(c)AFP