【12月6日 AFP】巨大地震が発生しやすい地域を示した新たな世界地図が、欧州地球科学連合(European Geosciences UnionEGU)の学術誌『Solid Earth』(5日)に発表された。

 地図を作成した地震学者たちによると、この地図ではこれまでに起きた1500の地震に関するデータから統計的に根拠を示したという。2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震をはじめとする巨大地震の大半は、海底のプレートの下に別のプレート(スラブ)がゆっくりと沈み込んでいる「沈み込み帯」、もしくは海底の断裂がこの沈み込み帯と交わるエリアで起きているという。

 過去半世紀に起きたマグニチュード(M)8.4以上の巨大地震50件のうち、半数はこうした危険な境界域で起きており、M8.6を超える最大規模の地震15件に限っては、その割合は87%にも跳ね上がる。

 プレートが沈み込んでいるエリアでは非常に強力な地震が起きることがよく知られている。04年12月に起きたM9.1のスマトラ島沖地震さらにはインド洋大津波の原因となったジャワ海溝(Sunda Trench)が一例だ。しかし(ある単一の)プレートの沈み込みによる巨大地震の発生は数世紀あるいは数千年に1度とまれだという。

 一方、懸念されるのは海嶺の移動によって生じた断裂が、プレートの境界で沈み込み帯と交わる領域だ。こうした接点が何故ホットスポットになるのかは明らかになっていない。複雑な断裂がブレーキとして働き、ゆっくり沈み込む動きを妨げる結果、非常に長期間にわたって高まった力が破壊的なエネルギーとなって解放されるためとの説もある。

 シドニー大(University of Sydney)の地震学者ディートマー・ミュラー(ietmar Mueller)氏は「たとえ長期的な地震サイクルを完全に理解していなくても、統計的データ解析を用いて可能なあらゆる改善は、地震による被害や人命損失の抑制に役立つものとして考慮されるべきだ」と述べている。(c)AFP