【8月1日 AFP】欧州11か国19都市の違法薬物使用状況を下水処理施設で採取したヒトのし尿から分析したところ、コカイン使用が最も多かったのはベルギー・アントワープ(Antwerp)だったとの報告書が26日、学術誌「サイエンス・オブ・ザ・トータル・エンバイロメント(Science of the Total Environment、環境総合科学)」に発表された。北欧では覚せい剤が好まれ、大麻の使用量では予想通りオランダ・アムステルダム(Amsterdam)がトップだったという。

 欧州史上最大規模となった調査では、コカインの1日あたり使用量は約350キログラムだとの推論が導き出された。一方、最も一般的に使われている薬物は依然として大麻だった。

 調査コーディネーターを務めたノルウェー水研究所(Norwegian Institute for Water Research) のケビン・トーマス(Kevin Thomas)氏は「下水を調査すれば、その都市の薬物市場の規模を特定できる」と説明した。サンプルは2011年3月9日から1週間、19都市21か所の下水処理施設で採取した。これらの施設で処理される下水は、欧州総人口の2%に相当する1500万人の生活排水だという。

 調査結果によると、検出量を基準としたコカインの平均使用量が最も多かったのはアントワープで、次いでアムステルダム、スペイン・バレンシア(Valencia)、オランダ・アイントホーフェン(Eindhoven)、スペイン・バルセロナ(Barcelona)、英ロンドン(London)、スペイン・カステリョン(Castellon)、オランダ・ユトレヒト(Utrecht)の順だった。

 アムステルダムとユトレヒト、アイントホーフェンでは、ナイトクラブで好んで使われる合成麻薬「エクスタシー」が高水準で検出された。ただしユトレヒトの場合は、調査の2日前に警察がエクスタシー製造工場を家宅捜索した際、大量の薬物が投棄されたことが検出量に影響している可能性があるという。

 エクスタシーはアントワープとロンドンでも広く使用されていることが分かったが、カステリョンとスウェーデン・ウメオ(Umea)、同ストックホルム(Sweden)では全く検出されなかった。

 覚せい剤の使用が多かったのはフィンランドのヘルシンキ(Helsinki)とトゥルク(Turku)、ノルウェーのオスロ(Oslo)、チェコのブートワイス(Budweis)だった。

 また調査では、金曜日と土曜日の夜に薬物使用量が増加する傾向も確認された。

 報告書が引用した先行研究結果によれば、欧州人口の約3分の1が違法薬物の使用経験があり、1時間あたり1人以上が薬物の過剰摂取で死亡しているという。しかし、違法薬物の使用状況を監視するのは困難だ。調査を実施しても使用者は発覚を恐れてうそをつきがちなため、正確なデータはなかなか得られない。(c)AFP/Anthony Lucas