【2月10日 AFP】米原子力規制委員会(Nuclear Regulatory CommissionNRC)は9日、同国で1978年以来となる原子力発電所の建設を認可した。前年の東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所の事故原因が明らかにされていない中、グレゴリー・ヤツコ(Gregory Jaczko)委員長は安全性への疑問を投げかけて反対したが、4対1の賛成多数で承認された。

 今回、建設が認可されたのは米電力大手サザンカンパニー(Southern Co.)のボーグル(Vogtle)原子力発電所内に新設予定の原子炉で、東芝(Toshiba)子会社・米ウェスチングハウス(Westinghouse)の「AP1000」(1100メガワット)2基が建設される。ボーグル原発はジョージア(Georgia)州ウェインズボロ(Waynesboro)近郊にある。

 ヤツコ委員長は、「われわれは今、まるで福島第1原発事故などなかったかのように(原発新設を)承認しようとしていると、私には思える」と述べ、福島第1原発事故で危険性が明らかになった設計上の問題の是正を、拘束力のある形で原発建設者に求めることが必要だと主張した。

 しかしその他の委員は、そのような措置は不要だとし、ヤツコ委員長が不安を持つ安全上の課題は今後解決されていくだろうと述べた。NRCのクリスティーン・スヴィニーキ(Kristine Svinicki)委員は、9日の決定は福島原発の事故を無視して行われたわけではないと述べた。

 今回の承認で、サザンは認可申請から7年目にして総工費約140億ドル(約1兆1000億円)の原子炉建設にゴーサインが出たことになる。現在工事は順調に進んでおり、1基目は2016年までに、2基目はその1年後に運転開始の予定だという。(c)AFP/Paul Handley