【12月2日 AFP】アフガニスタンのハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領は1日、親類の男に強姦され姦通罪で有罪となった女性服役囚について、加害者の男との結婚を条件に釈放を命じた。

 グルナス(Gulnaz)さんは2年前、自宅で強姦されて姦通罪に問われ、首都カブール(Kabul)の刑務所に収監された。強姦により子供ができており、刑務所内で育てている。

 大統領報道官によると、グルナスさんの釈放を求める請願が5000人以上から寄せられたことを受けてカルザイ大統領が会議を開き、その席で司法当局者によって赦免の決定が下されたという。ただし、そのまま釈放すると超保守的なアフガン社会では密通者の烙印を押されてしまう恐れがあるとして、加害者との結婚を条件に付けた。

 グルナスさんは、自分の兄弟が加害者の姉妹と結婚することを条件に、これに同意したという。報道官は、自分が強姦されたわけではないとの保証を得たかったのだろうと述べた。

■女性への暴力が増加

 グルナスさんの事例は、女性に対して厳しい法を適用した旧支配勢力タリバン(Taliban)が権力の座を追われて10年たった今も、アフガニスタンでは女性の権利が確立されていない実態を浮き彫りにしている。

 それどころか、女性への暴力は増加傾向にある。アフガニスタン独立人権委員会(Afghanistan Independent Human Rights CommissionAIHRC)の統計によると、2010年に2700件だった女性への暴力は、今年は4~6月だけで1026件に上っている。

 国際NGOオックスファム(Oxfam)が10月に発表した報告書によると、アフガニスタン女性の87%が、肉体的・精神的・性的暴力または強制結婚の被害に遭っている。

 同国では2年前に女性を暴力から守る法律が施行されたが、国連(UN)は前週、加害者が起訴された例は100件ほどに過ぎないと非難した。

■求婚を拒んで硫酸をかけられる

 先月27日には、武装組織の元司令官からの求婚を拒んだ17歳の少女が硫酸を浴びせられるという事件も発生している。マスクをかぶった武装集団が深夜、北部クンドゥズ(Kunduz)州の少女の自宅に押し入り、少女と姉妹と母親に暴力を振るったのち、少女の顔に硫酸を浴びせたという。少女は重傷で、4人の姉妹と母親もやけどを負った。

 内務省によると、ビスメッラ・モハマディ(Bismullah Mohammadi)内相が警察に、事件の捜査と犯人の逮捕をじきじきに命じたという。(c)AFP/Usman Sharifi