【11月21日 AFP】韓国・ソウル(Seoul)北東部の蘆原(Nowon、ノウォン)区は、ある廃棄物処理問題に頭を抱えている――放射線が検出された道路から剥がされたアスファルトの処分先を探さないとならないのだ。

 3月の東京電力(TEPCO)福島第1原発事故を受けて、韓国でも一部の住民がガイガーカウンターを購入して近隣の放射線量を調べていた。その結果、今月1日に蘆原区内の道路2か所で通常より10倍高い放射線が出ていることが分かった。

 当局は、放射線量は少なく健康被害の恐れはないと判断したが、蘆原区は住民の不安を受けて、当該個所のアスファルトを剥がした。そのため合計330トンの廃アスファルトが発生した。

 前週、このアスファルトが公園に投棄されているのが見つかり、区は激しい批判にさらされた。現在、アスファルトは区の事務所の裏に置かれている。

■費用に頭抱える区、責任ないと国の原子力当局

 蘆原区の広報担当者はAFPの取材に対し、「仮に廃棄場が受け入れるとしても、そこまで運ぶための特殊な容器の購入に100億ウォン(約6億8000万円)近い費用がかかります。でも、そんなお金はありません」と述べ、ソウル市と国の原子力保安当局が経費を支援すべきだと語った。アスファルトが置かれている事務所の周辺住民からは苦情が相次いでいるという。

 韓国原子力安全委員会(Nuclear Safety and Security CommissionNSSC)によると、舗装をやり直す前のこの道路に1年間、毎日1時間いたとしても、被曝量は年間許容量の半分以下。同委員会はアスファルトが放射線を出すようになった経緯を調査中だが、メディアは製造時に放射性物質が含まれた可能性があると報じている。

 匿名を条件に取材に応じたNSSCの職員は、「原因がなんであれ、検出された線量は健康への危険性がない。にもかかわらず区は道路を再舗装した。区の政治的判断の後始末をしなければならない責任はこちらにはない」と述べた。(c)AFP

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