【3月4日 AFP】太陽活動は11年周期で増減を繰り返すが、活動期に入ったと考えられる2008~09年の2年間、太陽が活発になると増えるはずの黒点がほぼ消滅していた謎を解明したとする論文が、3日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 従来の科学理論によれば、太陽が活発になると黒点の数は増える。黒点が消えたということは、活動の少ない時期が異常に長く続いていたということになる。黒点が消えていた期間は、ここ100年で最長だったという。

 太陽表面の黒点は、高度に磁化された荷電粒子、つまりプラズマの集合体だ。プラズマはさながら地球の海流のように太陽表面を循環しており、この循環は「グレートコンベアベルト」と呼ばれている。コンベアベルトは、極域で急激に落ち込み、赤道付近で再び現れる。

 黒点が衰え始めると、コンベアベルトはその消磁された残がいを抱き上げ、次に太陽の内部30万キロの深さまで引きずり下ろし、磁場を充電。こうして再び磁化されたプラズマは表面に向かって浮上し、黒点が再び現れる。  

■加速しすぎたコンベアベルト

 黒点消滅の謎は、インド科学教育研究所のDibyendu Nandi氏らが作成したコンピューターモデルで説明された。 

 コンピューターモデルは、太陽の内部、磁気の「ダイナモ」、グレートコンベアベルト、黒点の磁場が再荷電されて黒点が再び表出する仕組みを加味し、黒点が消滅した08年と09年に何が起こったのかを調べた。

 その結果、黒点消滅のプロセスはコンベアベルトの流れが加速した90年代後半にさかのぼることが明らかになった。ベルトの流れが速すぎて、衰え始めた黒点を太陽の中心付近まで引きずり下ろして充電する余裕がなかったのだという。結果的に、太陽内部の「生産ライン」が黒点を表面に送り込むことはできなかったとNandi氏らは説明している。(c)AFP

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