【1月27日 AFP】マレーシア政府は、デング熱対策として、遺伝子を組み換えた蚊(か)約6000匹をパハン(Pahang)州の非居住地域に放った。このような試みはアジアでは初めて。

 政府系の医療研究所(Institute of Medical Research)は25日、前月21日から実施したこの実験的試みが今月5日に成功裏に完了したとする声明を発表した。それによると、放った蚊はネッタイシマカで、すべてオス。生まれてくる子どもが生後すぐに死ぬよう遺伝子を組み換えてあるため、デング熱を媒介するネッタイシマカの減少、ひいては絶滅が期待されるという。

 実施は、環境保護団体などの反発や悪天候のため、延期されてきた。今回、事前の予告無く強行されたことについて、環境保護団体は26日、一斉に憂慮の声を上げた。

 活動家らは、ネッタイシマカの生態はほとんど知られていない上、遺伝子組み換え(GM)蚊が自然界でほかの蚊に及ぼす影響についても不明だとしている。これに対して政府は、「(子どもだけでなく)GM蚊自身も数日しか生きられないので、害はない」と反論している。

 2010年のデング熱による死者は、同国だけで少なくとも134人に達している。(c)AFP